日焼けどめが溶け落ちる

バンコク生活情報、タイ国内外旅の記録。2016年4月に本帰国

ピッサヌローク1泊2日旅④[帰り寝台列車]

22時過ぎの寝台列車に乗ることになっていた。今回の旅のメインディッシュである。寝台に乗るのは初めてではなかった。20代の頃、「全国青年大会」に仲間と参加するため、島根県発東京行きの寝台特急“出雲”に乗った。その時の記憶はほとんどない。恐らく乗車直後から酒を飲み、一通り騒いだ後、こと切れる様に眠ってしまったのだろう。あれから月日が流れ、私は「情緒」だの「古めかしさ」だのに胸ときめくほど歳を重ねたのである。ああ、なんてこと。

の続き。

川沿いの小さな空き地に、簡素な布団が並び施術を行っていた。
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夕食にはまだ早く、話相手もいない私は迷わず入場した。60分で100Bほどだった。バンコク中心部の半分ほどの値段だ。誰が使ったのかわからない布団と枕。ほんの少し尻込みした。マッサージの腕はよかった。スルリと睡魔に負けてしまった。

マッサージ後は、昨日は行かなかった駅前のタラートを散策した。少し行列が出来ている屋台があった。パッタイ(タイの焼きそば)の店だった。朝から色々食べ過ぎてさほどお腹は減っていなかった。しかしここで旅のシメを飾りたくなった。
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これこれ。そう言いたくなる様なパッタイだった。甘く、柔らかく、ピッサヌローク旅のエンディングにふさわしいローカルな味。


***
 
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列車は定刻通りピッサヌローク駅にやってきた。始発駅はチェンマイ。乗り込むと、2階建の車内はほぼカーテンで覆われていた。
私はそそくさと自分の席に上がり込んだ。寝台は想像以上に狭かった。大人の秘密基地だ。寝る準備を初めていると乗務員がカーテンを空け、チケットを確認した。


想像はしていたが、すぐに眠れるわけがない。ギコギコという車両が軋む音。線路の継ぎ目を通過する音。時々大きく揺れ、体が下に転がって行きそうだった。一応ベッドとカーテンの間に落下防止のベルトの様なものがあるのだが、私の体重をこんな貧弱なベルトが支えてくれるとは思えない。壁側に背中を添わせ、いざと言う時に備えて受け身の姿勢をとった。荷物は落下しないよう、体の後ろに追いやった。何とか体勢を整えた後は2日間の旅を回想し、小一時間ほどぼんやりしていた。
目を閉じ、真っ暗なタイの田舎道を、寡黙に走る列車の姿を想像した。


朝5時。
窓の外はまだ暗い。目が覚めてトイレに行った後、夜とは違う乗務員が席を片付けにきた。表情一つ変えず、慣れた手つきで毛布やシーツを剥ぎ取り、寝台が次々普通のシートに早変わりしていく。すでに起きていたからいいもの、熟睡している時にいきなりあれをやられたら溜まったもんじゃない。

寝起き直後に狭いプライベート空間を追い出され、なんとなく居心地が悪い思いをしている間に、列車はバンコクのフアランポーン駅に到着した。
多少の睡眠不足とともに旅はあっという間に終わった。